美しい日々


球体関節人形作家の堀佳子先生が自身のHPで、

抗がん治療で戦っていると自らお知らせをしている。

当初の記憶が鮮明に蘇る。

僕が堀先生と出会ったのは写真専門学生の頃からである。

「内倉、すごい人形作家の作品撮るか?」

母校の恩師からのオフォーで堀先生の「DOll」の写真集を手がける。

まだ仕事の撮影が何なのかも分からない僕に堀先生は優しく、

晩御飯などをご馳走してくれ撮影スタートまでの道を誘導してくれた。

初めて先生のアトリエに行き、身長170cmほどの人形を見たときは驚いた。

「こんな人形がこの世にあるのか・・・」

自分の価値観や知識のなさに愕然としたものです。

顔、首、腕、指先、足の先まで全て動くことができる人形で、

もはや瞳を見るたびに人形とは思えないほどのクオリティである。

もちろん金額も相当なものだが、金額以上に世界に一つしかないオリジナルで、

命を吹き込まれた「生き人形」は想像以上の価値が有る。

僕はたくさんの堀先生が手がけた人形たちと様々な場所で撮影に出かけた。

大きなレンタカーの後部座席に置き、開けるのが20分ほどかかる梱包された人形を

ゆっくりと撮影場所に下ろす。

一番緊張する作業だった。