大蛇の痕跡

5月17日晴れ

カチッとした音で、目薬をさし缶で熟成されたコーヒーを飲み、ムシャムシャとガムを噛みながらお気に入りの音楽をドン!!と車内で流しエンジンをかける。 到着地に近づくにつれ雨が降ってくる。空の雲行きもどんよりとして。

干からびた綿アメのようで、車内でのタバコが少し吸いにくい。

カーナビが突然男に話す「000の為通行止めです」男は冷静に別ルートを探す。

だがまたカーナビが「000の為通行止めです」その通行止めに5回出会う。

もはやナビはあてにならず方向音痴+ナビがあてにならない+地図も苦手。

男はある会議時間内に間に合わないとまずい。少し焦る。

少しの脳みそで考えた結果「この道を曲がってみよう」と考えた。 道がどんどん細くなっていき、道路には大蛇の痕跡のような地割れ、

住宅地には全ての屋根にブルーシートがかけられている。 山の様々な大きな木の枝が今にも落ちそうで、恐怖を感じる。

驚くほど周りは静かで人は誰もいない。その時間帯は10時50分頃である。 様々な場所で痛々しい崩れた家を通り過ぎながら、

市内に近づくにつれその男が感じた「恐怖」は薄れていく。

市内中心部の人々は車内から見ると笑顔で、楽しそうなカップルなど

当たり前のような光景があった。その男は安心をした。

その安心とは振り返ると何とも情けない安心であった。

実際に現地に行き、TV、SNS等では分からない、

実際の現場に直面した「恐怖に怯えた男」であった。 帰り道、現地を見た感情で涙が止まらず、そして個展開催の直前の喜びが入り混じり、 どうもこうもない感情に襲われながら。家に着き無理やり眠った。 本日は男が住んでいる町は、晴天で楽な気持ちになっている。 その男は私で、先日に熊本に行った日のことである。

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