美しい日々

January 29, 2016

 

球体関節人形作家の堀佳子先生が自身のHPで、

抗がん治療で戦っていると自らお知らせをしている。

 

当初の記憶が鮮明に蘇る。

僕が堀先生と出会ったのは写真専門学生の頃からである。

「内倉、すごい人形作家の作品撮るか?」

母校の恩師からのオフォーで堀先生の「DOll」の写真集を手がける。

まだ仕事の撮影が何なのかも分からない僕に堀先生は優しく、

晩御飯などをご馳走してくれ撮影スタートまでの道を誘導してくれた。

 

初めて先生のアトリエに行き、身長170cmほどの人形を見たときは驚いた。

「こんな人形がこの世にあるのか・・・」

自分の価値観や知識のなさに愕然としたものです。

 

顔、首、腕、指先、足の先まで全て動くことができる人形で、

もはや瞳を見るたびに人形とは思えないほどのクオリティである。

もちろん金額も相当なものだが、金額以上に世界に一つしかないオリジナルで、

命を吹き込まれた「生き人形」は想像以上の価値が有る。

 

僕はたくさんの堀先生が手がけた人形たちと様々な場所で撮影に出かけた。

大きなレンタカーの後部座席に置き、開けるのが20分ほどかかる梱包された人形を

ゆっくりと撮影場所に下ろす。

 

一番緊張する作業だった。

初めのロケ地は、この廃墟で撮影するしかないと思い、

実際に家事で丸焼けになった廃墟で撮影した。

真夏の日差しが眩しい昼間に地下の廃墟は静かな夜の世界。

 

僕は三脚にRZ67カメラを頑丈に取り付け構図を決め、

人形の顔の向き数ミリ単位まで神経を尖らせた。

少しの光が差し込む時、人形は表情を変えた。

こんなに美しい被写体を撮影できるのは僕にとって最大の喜びだった。

それは僕の作風にも完全に一致しているからだ。

 

もはや仕事という感覚は消え、作品として撮影を始めた。

学生を卒業しても東京で人形を撮影する機会もあった。

毎日クタクタのスタジオアシスタントを終え、

アパートに帰ると堀先生の生き人形が部屋の中にいた。

 

僕にとって堀先生の生き人形はかけがえのない人生の一部であり、

その後の作品「肖像」「人間図鑑」「佳子」を制作するインスピレーションにもなった。

このような素晴らしい人形作家を文章にも残したいと僕は考える。

 

堀先生は自身のHPで、「この病気になり、私は神様から立ち止まる時間をいただきました。」

と発表している。この方でないと言えない言葉だ。

 

世界中に堀先生の「生き人形」が登場していくことを楽しみにしています。

 

 

球体関節人形作家堀佳子氏HP   http://yoshiko-hori-dolls.jimdo.com

 

 

 

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