台湾写真家Yu-Lun Ho写真集「蝉」

静かな夜。僕は台湾写真家Yu-Lun Hoから頂いた写真集「蝉」をゆっくり見ている。
彼は写真展搬入終了間近にはなんとも可愛いTシャツを着て綠光+marüteにやってきた。
飾らない性格と、まっすぐな姿勢の26歳。僕のアシスタントの杉野と同じ年。
通訳を任されていたのだが、撮影がスタートすると僕は
彼を信用し、いつの間にかレンズ渡し、カメラ渡し、
アシスタントの仕事をしてもらっていた。とても助かって有難かった。
その日、僕は彼から写真集を頂いた。頂いたのだが、
台湾ビール、台湾ビールの連続で見れなかったので、現在、書斎でゆっくり見ている。
↓写真家Yu-Lun Hoより抜粋。↓
「アーティストとしての私は蝉のようだ。蝉は地上では7日間と比べて、私がいかにつまらない生活をしているか表現しているつもりだ。しかし撮り始めて気付いたのは、私がまだ地上にも出ていない蝉かもしれないということだった。
撮影した写真を見た最初の感想は、「私は何をしているんだ?何がしたいんだ?」だった。しかし実際のところ、私は本当に写真を撮っているだけで、ただそれだけだということに気づく。表現するということは全てはここから始まるということに。観客は完成した作品だけを見て、その素晴らしさを語る。しかしその裏にあるアーティストの苦労は見ることができない。」
このYu-Lun Hoの写真集コメントにあるように、
「私がいかにつまらない生活をしているか」=背筋が凍るような生活(私写真)。
「私は本当に写真を撮っているだけで、ただそれだけ」=ただひたすらに撮っている行為。
いかにつまらない生活と撮っているだけの写真群の集まり。
それは写真集「蝉」となり、実に凍りつくほどの愛と絶望を与えてくれる。
素晴らしい写真家と出会った。
台湾写真家Yu-Lun Ho HP http://www.yulunho.net