2016ShinichiroUchikuraPhotoExhibition4
2016 Shinichiro Uchikura PhotoExhibition 4
今年の展示を振り返る。秋の始まり。

「犬の戦士団」がコニカミノルタフォト・プレミオ受賞し、新宿コニカミノルタプラザギャラリーAにて個展開催した。年初めに連絡があり、非常に嬉しく、素直に嬉しかった。
作家のAランクの一つであるプレミオ。個展が開催できる、考える必要はない、「犬」を新宿に走らせる。KG+、瀬戸内、そしてこの正念場が9月にSTARTした。
相当な明確さと細さの展示レイアウトを作成していたが、搬入作業の際にはガラリと変えた。現場をこの目で見て、空気を感じないとやはり出来ない。プロの照明マンとフレームの方々、コニカミノルタの方々、開催前の夜まで展示作業をする。「なんて楽しいんだ!」これしかなかった。僕にはこれしかなくて、これが全てだろうと実感する。
犬達は今度は額装される。椅子も全て外し、スポットライトのみにして蛍光灯は全て消した。ヌメッと浮かび上がった額装された犬達、ガラス越しに僕が映り込む。それだけで十分だった。また病気が始まる「この我が城に誰も入るな」だが展示はもちろんSTARTし、沢山の方々の目に止まる。見せることこそ本質だ。僕は、ぼーっとその方々を見ながら「ああ、見てる、見てるなぁ」と当たり前のことを思っていた。知人の方々、友人、沢山来て下さった。日本写真協会さまからインタビューされ疲れはしたが、充実した疲れ。年度賞は来年決まるんだけど、そこは問題ではない。
僕が開催した9月。開催前に驚く連絡。内容はほとんどの写真家は知っているだろう。長年文化支援して下さったコニカミノルタギャラリーが来年終わる。この事は少し早めに知っていた。沢山の写真家がこのギャラリーが無くなるのを惜しんでる。僕も勿論、残念だ。だが受賞し個展を開催させていただいた立場からとなると、ここからが本当のSTARTになる。
僕は多分、賞を沢山頂いている、Canon写真新世紀、Nikonユーナ21、清里フォトアートミュージアム、平間至賞、などなど、そしてコニカミノルタフォトプレミオ。
「受賞したよ、すごいだろ。えっへん。」ではない。5年前からようやく気付き実行していることがある。「賞を受賞したからその作品は成仏」ここに着地する作家が多い。これは我が子を捨てるような行為。何が言いたいかというと、コニカミノルタフォトプレミオはもうすぐ終わる。だからこそ最後のコニカミノルタ作家としてガンガン発表していくのだ。
でなければ何も意味がない。僕が個展した作品はましてや犬なんだから、
走らせるんです。ただひたすらに。
美しいコニカミノルタギャラリーの思い出は大切に自分の中にある。
さあ。ここからが面白いんじゃないか。
コニカミノルタフォト・プレミオ受賞個展開催致します。
【新宿コニカミノルタフォト・プレミオ】 ・内倉真一郎「犬の戦士団」個展開催 ・開催場所:東京都新宿区新宿3-26-11
・コニカミノルタプラザ・ギャラリーA ・開催日:9月6日(火)〜9月16日(金)10:30〜19:00 ・TEL:03-3225-5001 ・無休・入場料無料(最終日は15:00まで)
・コニカミノルタフォト・プレミオ審査員による作品講評記載。
内倉真一郎「犬の戦士団」
「犬を撮った作品ですが、通常の犬の写真とはちょっと違う、たいへん勇ましい、すこしオドロオドロしい犬の姿がここには記録されています。“犬は犬だ”というか、こうした動物の擬人化ということに対する反発や疑問というのが作者の中にはあると思うんです。“人間が飼いならし、家畜化してきた”という犬に対して、飼いならしきれない部分を作者が見ていて、そこに視線をむけているところが面白いと思いました。
獣としての犬というところに共感してはいるものの、鎖につながれていたり檻に入っていたりするので、必ずしも野性がそのまま発揮されているわけではないですよね。そこばかりを強調するのではなく、あくまでも人のそばにいる犬としての犬を撮っているところがいいなと思いました。
愛玩犬から少し大型の犬まで、いろんなタイプの犬に注目していて、撮り方もいろんな視点から撮っていますね。人間がまったく登場しないというところもとても面白いなと思いました。犬に密着しているというか、犬そのものに迫っていて、しかも光の使い方がとても巧みなので、写真映像としてもたいへん魅力のある表現になっていると思います。」