母さん大晦日です
12月31日 大晦日は母

「おい、けいすけ。チーフはどこいった?」
気がついたら散歩好きな母は、散歩から写真が好きになったらしい。
今までスタジオの専務(今もだが)としてひたすら数字と戦っていた母は写真が好きになった。お仕事の写真以外の写真が好きになった。
毎日のように純粋無垢な「お花畑」「鳥」などなどの写真を見せられる。
僕はあいからわず特に何も言わず、「綺麗やん」しか言わない。
面白いものだ。今、母は少女のような目線で写真を楽しんで撮っている。
クオルティは別として、この気持ちは写真家共通だ。
「あら、内倉さんねぇ。今日は鳥は撮れたかしら?」
「あら、内倉さん、今日はお天気がいいから素敵ねぇ。」
「あら、内倉さん、今日は大きなレンズ持ってますね。」
散歩から母は綺麗な景色ばかり見てきたのだろう。
花、鳥、カエル、四葉のクローバー、イチジク、紅葉、
全く、母は面白い。
作品「分離と融合」より「分離」