Samskeyti

March 25, 2017

Bガール系/お姉ギャル系/お姉系/きれい系/ガーリッシュ系/キレカジ系/コンサバ系/ゴスロリ系/セレカジ系/モード系/フェミニン系/ロック系/姫ギャル系/裏原系。これだけ"系"がつくと少し頭が痛い。例えばこれだけの"系"の集団が一斉にそれぞれのポージングをとり、「じゃあテストシューティングね〜」「はーい!」など一斉の声と、キメキメのウィンクなどを飛ばしてきている中でポツンと真っ白な椅子に全身真っ白な少女が、ただ座っていたらどう思うだろうか。
 

 


間違えなくその子に注目し目の前に行き目線を合わせ話を聞くだろう。もしくはこちらから小さな声で話しかけるだろう。きっとその会話はこうかもしれない「ねえ、どこか静かで美味しいcafé知っているかい」いや、もしくは会話をせずに紙に言葉を書き少女に渡すかもしれない。Letterのように。返事が返ってきたらきっとその場所に魅了され、世界観に引き込まれるだろう。

そのような写真家を僕は一人知っている。

私は難しいことを知りませんという一つの美学的系な手法、
私はこの世界が難しいと思うからこそ表現するのだという自分探しの家出系な手法、
私はこの世界が歪んで見えるから作品もシュールだという盗んだバイク系な手法、

その中で、少し風変わりな手法をしている写真家を僕は知っている。



"私は写真を手紙だと思っています。"



今、僕の書斎には様々な優れた作家の作品集がある。その中でもポツンと新しく書斎の仲間入りした写真家ヨシダミナコの写真集「Samskeyti」ヨシダミナコとは写真学校時代からの同期日常の写真は撮り続けていたが作家としての活動は昨年から9年ぶりにスタートした。見るたびに僕とはまるで違う作風。世界がこんなにも美しいものか、手紙だろうがなんだろうが、彼女の作品は静かに見えるが、実はどの作家よりも無数の言葉が聞こえて来る。

 

これは評論ではなく友人ヨシダミナコに僕からのLetterだ。

 

 

"ヨシダミナコ写真集「Samskeyti」Artist Statementより。"

 

これは父を撮影した作品です。15年前、父が病と闘う中で、わたしは父の死と向き合うことが出来ず、父に寄り添った母の姿を撮っていました。けれど、母の写真が残ったことにより、父を撮れなかったということが、また父と向き合えなかったということが、大きな後悔として自分の中に残りました。父と向き合えなかったのには理由があります。家の中での父は、いつも怖い存在でした。常に何かにイライラとしていて、理不尽に怒鳴り散らし、母はそんな父親から子供達を遠ざけ、子供達もまた父親というものを避けてきました。

 

ただひとつだけ、わたしには父とのささやかな思い出があります。幼い頃、わたしは父に連れられて日曜日のミサへよく出かけていました。キリスト教徒ではなかった父が、何故わたしだけを連れて礼拝に通っていたのか、その理由を聞いたことはありません。父が亡くなってから、外国へ行く度に教会を訪れるようになったのも、そうした体験からなのだと思います。2014年、アイスランドを旅した時に、圧倒的な自然の中にぽつねんと建つ教会の姿を見て、その風景がわたしの中の父親像と重なっていくのを感じました。アイスランドの旅から戻って、研究者の方とコンタクトを取っていく中で、これまでの外国で見てきた多くの教会は人々が集まる街の中心地に建っているのに対し、どうしてアイスランドの教会はぽつねんとした風景の中に建っているのか、その理由がわかりました。それはアイスランドの定住方法自体が散居だったことが大きく関係しているということです。そして、ぽつねんと建っているように見えたアイスランドの教会も、実は人々のコミュニティーの要として存在しているということでした。

 

そのことから、わたしはアイスランドの教会が自分の父親像と何故結び付いていったのかがはっきりとしたように思えました。わたしは父と向き合えなかったことから、ずっと父親というものから孤立していると思ってきましたが、アイスランドの教会を訪れたことにより、家族の要としての父が存在していたことを強く感じることが出来たからです。

そして、アイスランドの教会を撮影するために、再びこの国を訪れました。幾つもの教会を撮影していく中で、わたしはやっと父と向き合う時間を得ることが出来たのだと思います。


*「Samskeyti」…アイスランド語で「合流点」、「接合点」、「つなぎ目」を意味する。

 

Minako Yoshida official site

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