原点を永遠に

July 25, 2018

 


"原点を永遠に"好きな言葉だ。この言葉は清里フォトアートミュージアム開館20周年記念の時に東京都写真美術館で開催されたキッチフレーズ。その時、展示していただいたのは所蔵初期作品"私は自分に恋をした新しく生まれる自分に"初めてコレクションされたシリーズを展示してもらった。

そう。今もその原点は僕にあるのだろうか。ふと、そんなことを思っていた。あの時の風の強さ、街の匂い、あの気持ち。結婚して子供ができて宮崎に戻ろうがなんだろうが、その原点は変わることがない。

今日の画像は展示風景での僕が写っているポートレート。このポートレートはディレクターの方が撮影してくれた写真だ。しかもスマートフォンで。作家と展示がコラボしているグラフィックな写真で宝物。天井から一点、一点にスポットライトを微妙なズレも残さずにあてる。この時、僕は少し疲れていた気もする。まだ個展は開催中なのにとてもいい思い出。髭もじょりじょりだ。「内倉くん。もう少し左。いや、右、もう少し前」写真を撮られる時の会話はそれだけで僕は「はい」それしか言っていない。写真を撮られるのが僕は実はとても苦手だ。よく見たら表情もこわばっている。それもいい思い出だ。このポートレートは生涯僕の紹介ポートレートになる。

第七回エモンアワードグランプリに寄せてのコメントは僕の宝物だ。

そんな原点が今も生まれ、永遠になっていくだろう。


※今日の動画は"Katelyn Tarver - You Don't Know"映画レオンを久しぶりに見て曲を聴きたくなったら何故かこの曲を聞いていた。

 

 

 

第7回エモンアワード・グランプリ受賞者展によせて

 

内倉真一郎。1981年宮崎県延岡市の写真館を営む長男として生まれ、幼少時代から写真に囲まれて育つ。日本写真映像専門学校を経て独立し、実家の後継ぎとして活動拠点を宮崎に移し現在に至る。

写真を生業としながら内倉は、これまで培ってきた技術を武器にして数多くプライベートワークに取り組み、内外のコンテストで佳作・入賞を繰り返してきた。今回の受賞作品には、そうした積み重ねによる作品の強度もさることながら、その根底に作家の挑戦と覚悟の痕跡を見ることができる。作品タイトルはこの受賞を機に、11月に授かった命を星になぞらえて「十一月の星」と改められた。また展覧会開催までの5ヶ月の間にエキシビションプランは度々見直され、あらたに作品を撮り下ろすなどして、最終的にはレイヤーを重ねるような重層的空間づくりとなっていった。新生児とタンポポ、その直接的ではないむしろ遠い二つのイメージを織り交ぜ、ただ飾るだけのありふれた写真展にならないようにしたのは内倉のアイデアである。

 

出産にまつわる写真は決して珍しくはないが、その多くと内倉の写真を分け隔つのは「運命」に対する眼差しにある。撮る対象が血を分けた実子であろうと、その眼は鋭く「生」そのものに向けられている。作品の主題は、彼のステートメントにあるように『人は生まれた瞬間から死に向かっている』という現実を見据え、我が子への愛おしさ、その先にある生物すべてに共通するテーマを抱えている。それは、私たちが大人へと成長し、知恵を付けていくことによって失いがちなこと、その「ただ、生き抜く」という人が本来もっているサバイバル本能を呼び覚ますかのようである。さらけ出すことを躊躇わず、粘り強くチャンスを待った内倉は、ここに来てとうとう代表作と呼ぶに相応しい作品を生み落とすことが出来ただろう。この作品でただひとつ明白なのは、私たちに慎みの念を抱かせるほど紛れもない命がここに在るということ、そして命の営みは、この地球を覆っている矛盾だらけの厳しい自然の営みとなんら変わらない事にも気づかせる。それがこの作品「十一月の星」に注がれた、容赦なくもあたたかい内倉真一郎の眼差しなのである。

 

エモン・フォトギャラリー ディレクター小松整司

 

 

 

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