10cmの世界


5000年前、縄文時代の人々がある信仰をしていたと言われる岩崖に行った。車で30分ほどで着く場所だ。外は雨が降っていて霧も凄い。僕はお気に入りの"Jolene"を聞きながらカメラを持ち現地に着く。人気のある観光スポットで雨の中でも観光者がいる。しかし、下に進む道は非常に危なく、少しでも滑ったら海に落ちる。岩だらけの下り坂を降りると見えた。とてつもなく大きな深く高い洞穴とでも言えばいいのだろうか。神々に手を合わせる場所では「ここで振り返ったら龍の形に見えます」そのような看板がある。龍には見えなかった。僕はそこに集中せず、深い、とても深い洞穴の岩達を見つめていた。視界も慣れてきた。海の波は押し寄せてくる。上から落ちてくる水滴は大きく、岩にボジャンと弾け、よく見ると鳥の羽が無数に落ちていた。海から光が差し込む少しの光に照らされたその羽はとても美しかった。気がつけば僕はその場所に3時間ほどいて、ひたすら羽と岩を撮っていた。そして外に出ると人間が愛し合い絡み合うような木がある。その木には10cm程の穴がいくつもある。よく見ると一つの世界があった。その穴の中には真っ赤で生き生きとした蟹が身を潜めていた。「こんなとこに蟹がなぜ?」そう思いながらマクロ設定に切り替え、穴をレンズで塞いだ。蟹は少し逃げた。だが次の瞬間その蟹は大きな爪を振りかざしレンズに向かって立ち向かってきた。レンズは蟹の爪が当たる音でキチキチと響き、僕はひたすら写真を撮った。周りの人々か